さくらいの落書き

持たざるリーマンによる試行錯誤の記録 Have nots employer's challenging diary

「ハーバード流宴会術」は宴会幹事の振る舞いと与える精神が学べる本

以前コミュ力モンスターの友人と話していた時に紹介された本「ハーバード流宴会術」

ハーバード流宴会術

ハーバード流宴会術

正直題名を見た瞬間の感想は、「とりあえずハーバード付けとけば売れると思ってる系の本なんじゃ?」であった。

少し前はシリコンバレーがやたらと流行っていたが…


「飲みニケーション」という言葉が死語になりつつある日本で、時代に逆行するような内容だが、僕の友人への信頼と、この本への期待が揺らぐことは無く、Amazonで即ポチした。


なぜなら僕は、常にコミュ力を欲している、筋金入りのコミュ障だからである。
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本書がハーバード流を語っているのは、著者の児玉氏がハーバード・ビジネススクールの卒業生であり、そこで培った経験を宴会に活かしているためだった。

ハーバードまで行って宴会芸かよ…とちょっと思ってしまったが、外部との交流が少ないサラリーマンである僕でさえ、仕事をする上での人の繋がりの大切さを痛感しているので、コミュニケーション力が大きな役割をもつ商社マンにとって、宴会幹事が重要なことは想像出来る。


それ以外にも、幹事に必要な企画力や周りを巻き込む力、調整力などはビジネスにおいても必要な能力であるという筆者の主張には、確かにと思うところが多かった。


宴会の成功もプロジェクトの完遂も、周りの仲間たちと協力して目的を達成するという点では、何も変わらないからだ。


読み進めていて痛感したのは、児玉氏がとんでもないギバーだということである。

少し前に、与えるものこそが成功するという本が流行った。

本書はこの本の具体的なハウツー、宴会の幹事版と言っていいと思う。


宴会でひたすらゲストのために奔走する泥臭い行動、例えば「盛り上がれない人が出ないように、事前に座席の配置を考える」なんかは、そこまでやるか…と思った。

部長はここで、課長はここで、何さんはここで……と個々人の相性、立場なども考えた上で、早めに店に着いてネームプレートでも置くのだろうか。

ここまでやる幹事は、少なくとも我社にはいない。


他にもカラオケでの振る舞い、スムーズな二次会への誘導方法等々、逆にここまでやれたらかなりの差別化になるだろうなというハウツーが、いくつも紹介されている。


商社マンでなくても、宴会の幹事を任される人は少しでもエッセンスを活かせば素敵な会に出来るのではないかと思う。


もちろん、コミュ二ケーションについても書かれていて、仕事における宴会や接待はもちろん、プライベートにも役に立つ考え方として、本書では頻繁に「エアー・タイム」という単語が出てくる。


これはある人が「オン・エアー」されている時間という意味で、その人が主役である時間のことを指している。


人は誰でも自分が主役として扱ってもらいたいと思っていて、それは相手の性格、例えばシャイで人見知りな人も、明るくて活発な人でも関係なく当てはまる。という真理に基づき、幹事の役目は「参加者のエアー・タイムを極大化すること」であると筆者は言う。


例え引っ込み思案な人であっても、スポットライトを当てて、丁寧に掘り下げてあげることで、よく話してくれるようになり、本音で話してくれるようにもなると。


そして宴会の目的は参加者に「本音で話す=心のパンツを脱ぐ」状態になってもらうことで、より親密な関係を作りあげることである。


これは宴会を接待や合コン、デートに置き換えても同じことが言えると僕は思う。


いかに本音で話し合える関係を作るか、そのためにできる準備を徹底的にやる、という姿勢が本書の一貫したテーマであり、これはコミュニケーションが得意だと思われている人、好感度が高い人の根底に流れている、与える精神なんじゃないかなと。


オッサンとの飲み会が敬遠され、人生の主役は自分という考えが浸透する時代ではあるけれど、いかに相手のために与えることが出来るか、これが公私関係なく人から好かれる秘訣であり、具体的に何をすべきかまで落とし込まれた熱い本でした。



参考文献

ジョジョの奇妙な冒険 5 (ジャンプコミックス)

ジョジョの奇妙な冒険 5 (ジャンプコミックス)