声をかける 書評
先日twitterのタイムラインを眺めていて気になっていた、高石宏輔氏著「声をかける」を読みました。
前作の「ラポールと身体知」は未読なのですが、今作はよりナンパに特化した物という事で興味があったのです。
本作は小説のような形式を取っているのですが、読んでいてすぐにほぼノンフィクションだろうなと感じました。
ナンパによって出会う女性達との関係が生々しく描写されており、リアルな人間同士のコミュニケーションがフィクションとは思えないレベルで描かれていたからです。
主人公はコミュニケーションが苦手な男であり、そんな男が初めてナンパをする時、第一声を発する際に直面する心情、葛藤などはナンパ経験者で、特に非モテ出身ならほとんどの人が共感できるんじゃないかというくらいリアルな描写がされており、最初から興味をそそられました。
そして登場人物の女性達のどこか歪な感じが生の人間であることを感じさせ、また接している内に好きになったり嫌いになったり、表には出してはいないけれど、揺れ動いている心情の描写がとても繊細で、よりノンフィクションの印象を強めていました。
ナンパのシーンにおいて、主人公は一般的にイメージされているナンパの第一声や、とにかく冗談やユニークな切り返しで笑わせる手法とは異なった、相手と同調していって心に入り込んでいくような、そんなコミュニケーションの方法・ナンパ手法を取っていて、実際に街に出て活動している人にとっては新鮮な学びがあります。
小ネタのような形で元有名講師である公家シン◯さんと思しき人物との出会いが書いてあったり、また恋愛工学で有名なセック◯トリガーの裏付けになるような体験をしていたりと、ナンパに興味関心がある方なら楽しめるんじゃないかという内容があり、またとにかく主人公の内面描写が繊細に描かれているので、女とデートしている男がどんな事を感じ、思っているのか興味がある女性にも、学びがあるのではないかと思いました。
恋愛工学の「僕は愛を証明しようと思う」が、恋愛活動へのモチベーションを上げるための創作であるとすれば、こちらの作品はとにかくナンパのリアルを描いた作品だと言えます。
経験問わず、ナンパに興味がある方は楽しめるのではないでしょうか。
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